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2003年6月19日

仙台・地下鉄東西線計画について

 
仙台市の地下鉄東西線は、仙台の南と北の主要な街を結ぶ地下鉄南北線、その次に続く路線として計画されている地下鉄路線です。
2003年(平成15年)6月9日には、仙台市は鉄道事業法に基づく事業許可の申請を行っています。

昭和54年から検討されているという(*1)地下鉄東西線は、当初は地下化された仙石線を仙台駅(あおば通駅)から西公園まで延長するというものでした。
現在の地下鉄東西線計画は、当初の地下鉄東西線と西公園から八木山・茂庭方面へのモノレール(新交通システム)南西線、西公園から若林区方面へのモノレール(新交通システム)路線を繋げたものです。

「南北線があるのに東西線がないというのはどうか」というところから考えられている地下鉄東西線計画は、採算性の問題から今までに何度も検討するルートや機種が変わってきています。
検討されたルートはJR仙石線を東西交通軸としたもの、八木山地区を重視したもの、八木山地区と若林区役所・卸町地区を重視したもの、検討された機種は仙石線の延長・モノレール、新交通システム、リニアモーター地下鉄と変わっています。
今回の地下鉄東西線計画は、仙台の西と東の主要な街を結ぶということよりも、南側に迫る地下鉄南北線や北側に並行するJR仙石線とできるだけ競合を避けるということを重視したルートになっています。

東西線では常に問題になる採算性ですが、平成10年時点と現在(平成15年)計画の損益収支を比べると劇的に改善しています(下の表を参照)。
これは、減価償却の計上方式を一般的なものから、みなし帳簿原価に基づく償却(みなし償却)に変更しているためで、補助としてもらったお金を利用者から回収するのはおかしい、国や市からの一般会計補助金で造った固定資産は減価償却しない=減価償却したものとみなす、という考え方です。
損益収支は、減価償却の計上方式の変更だけで大きく変化する事からわかるように、考え方を変えれば数字は変わります。

資金収支の数字はそれほど変わっていません。地下鉄東西線の場合は数字上の損益よりも、乗車料収入がどれだけ入って運営経費や借入金元金・利息が出て行くかという実際の資金収支のほうが重要ですので、損益収支よりも資金収支の方を重要視したほうが良いと思います。

地下鉄南北線は、平成13年度に乗車人員・乗車料収入が前年度比で減少しています(*2)
乗車料収入は地下鉄の収入の大きな比率を占めていますので、地下鉄東西線計画で想定される乗車料収入に実際達しなかった場合には、現時点で想定される損益収支、資金収支の黒字化年度が大きく変わってくることになります(*3)

乗車料収入を増やすには地下鉄に乗る人を増やすことが重要ですが、南北線−東西線を乗り継いだ場合には通算運賃になりますので、一番町−仙台駅間等、実質無料や低額で乗車できる区間ばかりで乗車人員が増えても乗車料収入はあまり増えません。

仙台市の資料「東西線の乗降客数の見込み」(*4)には各駅ごとの乗降客数の見込みが書かれています。
乗降客数75400人の仙台駅を最高に、40600人の一番町、25200人の西の終点・動物公園、22400人の薬師堂、21400人の卸町、17600人の荒井と続きます。
地下鉄南北線の平成11年度乗降客数は、73300人の仙台駅、43700人の北の終点・泉中央駅、31600人の勾当台公園駅、21200人の長町南駅、20000人の八乙女駅となっています。
地下鉄南北線の仙台駅から北の区間は日中でも比較的混んでいますが、郊外住宅地からの人が集まる八乙女、泉中央と終点側の乗降客が多く、都心から終点まで多くの人が乗り通している事が考えられます。
地下鉄東西線の場合には西の終点・動物公園、東の終点・荒井の乗降客数見込みは多くありません。東西線の終点側には泉中央のような副都心的な拠点性はなく、都心から終点まで乗り通す人は少なさそうです。

南北線沿線から東西線沿線へ行く需要として、仙台駅から西の区間は、一番町への買い物、西公園周辺への通勤、国際センター付近への通学・観光、青葉山への通学、仙台駅から東の区間は卸町・六丁の目地区への通勤が考えられます。
しかし、仙台駅から西の区間、西公園、国際センター、青葉山は駅周辺に住む人が少なくバス接続駅でもないので乗降客数見込みは少なく、東西線・仙台駅以西への需要はあまり多くないものと考えられているようです。
結果として、南北線沿線から東西線沿線へ行く需要も少ないことが考えられます。

南北線と東西線の相乗効果で南北線の乗車人員(乗客)が大幅に増えるのであれば問題ありませんが、東西線内を都心から終点まで乗る乗客や東西線各駅の拠点性が低く南北線から乗り継いで終点近くまで行く乗客が少ない、南北線から乗り継ぎの一番町−仙台駅間の乗客が極端に多いとすれば、1日当たり約13万人、キロ当たり約9千人と想定される乗車人員の割りには乗車料収入が入らないということが起きる可能性があります。

地下鉄東西線を造ることによって、これから仙台の街はどのように変化するのでしょうか。
地下鉄東西線について、問題点が多いために否定的な文章になってしまいましたが、地下鉄東西線沿線に住む人にとってなくてはならないものになり、仙台の街が活気づき、仙台の街が魅力的になるのであれば、多少負担があったとしても地下鉄東西線を造ることは悪いことではないと思っています。

軌道系交通機関を中心に街づくりをするという、仙台版コンパクトシティの実現可能性は。都心や副都心を中心にした分散拡大型都市を目指し、そのように発展してきた都市構造をどのように手直しするのか。周辺市町村の商業・住宅地開発との整合性。都市計画道路整備との整合性。地下鉄東西線沿線で条件が良くなる所と悪くなる所が出てくることを、地元の人は受け入れられるのか。

地下鉄東西線計画を意味のあるものにするには、本質的な部分をひとつずつ検討することが必要です。

                      2003年6月19日 三河恵介

「資料」

(*1) 仙台市HP-平成13年11月・東西線沿線まちづくりの基本方針-東西線計画の経緯
・ 昭和54年 「仙石線の地下化にあわせた仙台駅から西公園まで延伸する地下鉄東西線構想の検討に着手」
・ 平成3年 「従来の地下鉄東西線構想を転換し、新たな東西一貫した路線による構想の検討に着手」
・ 平成10年8月 「平成14年度事業認可申請、16年度工事着手を目標としてルート(案)を公表
・ 平成12年3月 「東西線ルート及び導入機種を決定」

(*2) 仙台市交通局HP-平成13年度 高速鉄道事業の収支状況

(*3) 仙台市の監査のHP-住民監査請求-「地下鉄東西線」に係る監査請求(第6 監査結果、収支結果)

(*4) 仙台市HP-平成13年11月・東西線沿線まちづくりの基本方針-参考資料(東西線の乗降客数の見込み)

「仙台街並み写真」HP・地下鉄東西線について

卸町地区と地下鉄東西線

若林区、若林区役所周辺地区と地下鉄東西線

仙台街並み写真日記: 仙台地下鉄東西線
 

仙台・地下鉄東西線計画の概要、新旧資料の比較 平成16年1月10日更新
平成10年11月 資料
(カッコ内)
・平成10年11月24日 仙台市主催
第1回東西線シンポジウム配布資料「東西線計画の概要」
平成13年7月 資料
(緑の太字)
・平成13年7月発行・地下鉄東西線についてお答えします
平成15年5月 資料
青い太字
平成15年5月 地下鉄東西線の説明会配布資料
「地下鉄東西線計画概要及び取り組み状況について、
地下鉄東西線についてお答えします!」

仙台市HP-東西線整備推進事業の概要-地下鉄東西線についてお答えします
平成15年6月9日
事業許可申請時点
資料 [赤い太字]
仙台市HP-市長記者会見-東西線の事業許可申請について-記者発表資料「東西線 事業許可申請の概要」
平成15年6月22日
資料
(ピンクの太字)
・平成15年6月22日 河北新報朝刊【PRのページ】
「地下鉄東西線とまちづくり」
企画 仙台市・河北新報広告局
平成15年8-9月
事業許可申請内容変更、事業許可取得時点
資料 (水色の太字)
平成15年8月26日 仙台市HP-市長記者会見-東西線の事業許可申請内容を変更-記者発表資料「東西線の事業許可申請内容を変更」
仙台市HP-地下鉄東西線なんでもサイト-東西線の財政計画-たくさんの人が利用します。
 
建設区間 動物公園〜荒井 営業キロ・約14km 駅数・13駅
建設費 総額 2,735 (約2,710)
キロ当たり 約190 (約190)
需要予測 1日当たり 平成27年度開業時・約119,000人
平成27年度開業時・約13万人

(平成22年度推計・約132,000人)
キロ当たり 平成27年度開業時・約9,000人 (約9,500人)
 
東西線
利用者数予測
乗車人員
平成27年度推計・
119千人

乗車人員
平成27年度推計・
130千人

(乗車人員
平成22年度推計・
132千人)

沿線人口
徒歩1km圏
165千人
176千人

(186千人)

沿線人口
バス・自転車・その他利用圏
98千人
104千人

(99千人)
 

うち乗車人員
74千人・45%
84千人・47.7%

(85千人・45.7%)

うち乗車人員
18千人・18%
19千人・18.3%

(20千人・20.2%)
南北線・JRからの乗車人員
27千人
27千人

(27千人)
       
南北線
利用者数実績
乗車人員
平成4年度実績・
155千人
沿線人口
徒歩1km圏
185千人
沿線人口
バス・自転車・その他利用圏
211千人
 
うち乗車人員
97千人・52.4%
うち乗車人員
46千人・21.8%
JRからの
乗車人員
12千人
 
出資金

547 (約540)

(1,674)*6
1,217

(1,220)

市負担額・
実質負担額
(921)*6
669
*5

(490)
補助金

670 (約680)

603 (約610) 1,518
(1,490)
国からの補助金
運賃収入等
企業債

915
(借入金 約880)

総建設費 2,735 (約2,710)  
*5 仙台市HP-東西線整備推進事業の概要-整備計画の概要
東西線の総建設費のうち、開業後の運賃収入や、国から交付される補助金などで賄う分を除くと、仙台市が実質的に負担する費用は670億円程度になります。これまで仙台市では、高速鉄道建設基金という地下鉄事業に備えた積立を行っており、既に450億円以上(H13年度末)が蓄えられており、今後も毎年約40億円程度ずつ積立てられますので、福祉や教育など他の事業に大きな影響を与えずに建設を進めることが可能です。【仙台市が実質的に負担する額は、平成14年度に見直しされた交付金の率により試算したものです。】
*6 仙台市が負担する分を全額市債で調達するため、金利分が加えられています。
・平成15年6月22日 河北新報朝刊【PRのページ】 「地下鉄東西線とまちづくり」
平成15年6月6日 河北新報ニュース 地下鉄東西線 一般会計負担は921億円 仙台市試算
 
収支計画 損益
収支
単年度黒字化年度・開業9年目 [開業8年目] 開業8年目 (開業15年目)
累計黒字化年度・開業20年目 [開業14年目] 開業13年目 (開業27年目)
資金
収支
単年度黒字化年度・開業10年目 [開業8年目] 開業8年目 (開業9年目)
累計黒字化年度・開業19年目 [開業13年目] 開業13年目 (開業16年目)
主な
収支
条件
建設費上昇率 0.0(%/年)
経費上昇率 0.14(%/年)
借入金利 長期 2.0〜2.3(%/年)
短期 1.5(%/年)
運賃改定率 5(%/5年)
減価償却費 みなし帳簿原価に基づく償却 *7

*7 みなし償却についての記述
社団法人公営交通事業協会HP-調査研究事業-公営地下鉄事業の経営健全化に関する研究・公営地下鉄事業の経営健全化に関する研究会報告書

 
機種 リニアモーター地下鉄
(平成10年11月時点では機種未定)
開業予定 平成27年度 事業期間平成15年度〜平成26年度
 
金額単位・億円

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